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イエレンFRB議長、大任を果たして交代

2017年12月16日 16時15分31秒 | 経済
イエレンFRB議長、大任を果たして交代
 アメリカは2008年の年末12月、徹底した金融緩和で金融危機を脱出しようと異次元の金融緩和を始めました。
 その年の1月3%だったフェデラルファンド・レート(日本の公定歩合に相当)を、2007年8月までの5.25%を9月から下げはじめ、2008の3月に2.25%、5月に2%。10月に1%に引き下げ、12月に0.25%にしたのです。

 これを主導したのは、「金融恐慌は金融の徹底緩和で対処可能」という意見の持ち主、当時のFRB議長のバーナンキさんでした。
 4兆ドルと言われる巨大な量的緩和とゼロ金利政策と言われたこの低金利政策和は、量的緩和は2013年末まで、低金利政策は2015年の11月まで続けられました。

 リーマンショックによる金融危機が、この金融緩和で救われたのかどうかは議論のある所でしょうが、世界の主要銀行のB/Sに大穴を開けたリーマンショックから世界の金融システムが立ち直るのには、7年という長い時間がかかりました。

 その間バーナンキさんはイエレン女史に交替し、実体経済中心(労働経済学者)と言われるイエレン議長は、世界に先駆けて金融正常化に舵をとってきました。

 イエレン議長が就任したのは2014年2月、既に量的緩和の終息に踏み切っていたバーナンキからバトンを渡されたイエレン議長は、いよいよ金利の引き上げによる金融正常化を進めてきました。

 緩めるときは一気でしたが、金利の引き上げは簡単ではありません、シェールオイルなどの幸運はありましたが、アメリカ経済は常に経常赤字で、金利の引き上げは、コスト高はもとより、ドル高を呼び、国際競争力の低下から経常赤字の拡大の可能性を大きくし、景気減速の恐れがあります。

 雇用と物価の動向を見ながら、また、トランプ政権になってからは、トランプ流マネー経済学との確執も見られましたが、今回のFOMCで今年3回目の金利の引き上げでffレートは1.5%に到達、来年も3回の金利引き上げの見通しを後任のパウエルさんに託して、世界に先駆ける金融正常化のプロセスを実行しての退任という事です。

 ECBも金融正常化路線には追随し、異次元金融緩和を続けているのは日本だけのような様相になってきていますが、実体経済を見ながら、的確にキメの細かい舵取りをしてきたイエレン議長の業績は評価されてしかるべきでしょう。

 物価が上がらない事だけは、想定外で、意外で、その原因には良くわからないところがあると、イエレンさんは言いますが、物価の上がりやすいアメリカです、2%目標にそろそろ届くかといったところでしょうが、雇用が良ければ、物価はあまり上がらなくてもいいのではないでしょうか。これは今後の経済学の問題かもしれません。

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